2014年02月24日

3本目のダイビングの不運〜バリ島ダイビング遭難事故〜


バリ島ダイビング遭難事故についての追記です。

ダイビングというのは、1本のタンクで30〜50分潜る事ができます。水深の浅いところだと、もっと長い時間潜る事ができるのですが、お金を払ってガイドしてもらうファンダイビングでは、たいてい1本30分〜50分くらいの潜水時間になります。

ファンダイビングの料金は普通、沖縄本島では2本のボートダイビングで10000円〜12000円くらいが標準的な料金です。石垣島とか宮古島はこの料金の中に昼食代が含まれている場合が多いです。

朝8時か9時くらいに港を出航して、1本潜って1時間弱休憩して、2本目を潜って昼食です。これで3本目どうしますか?という感じでオプションダイビングを選ぶと3本目のダイビングになります。キャバクラでいうと、いわゆる延長ですね。追加の3本目はだいたい5000円〜7000円くらいです。

国内の沖縄本島とかだと、また来る事ができるし、その日の天候や、海の中の透明度がイマイチだったり、潜った事があるポイントだったりすると、3本目はパスで、ゆっくり船上で休憩したり、船からシュノーケルで飛び込んで、船の周りを散策したりで時間をつぶしたりします。

これが海外だと、めったに行けないこともあって、欲張ってたいてい3本目のオプションダイブ潜っちゃうんですね。

ダイビングを重ねると、身体の中の血液中にだんだん窒素がたまっていき、見えない疲れがだるさとなって身体にじわりじわりと押し寄せます。水から上がって、休憩している間に少しは身体から窒素が抜けていくのですが、窒素が完全に抜けるには12時間以上かかります。ダイビングが終わってから18時間以内に飛行機に乗ってはいけないというのは健康の面でいろいろと意味がある事です。

話は変わりますが、伊豆で潜って、日帰りで標高の高い箱根を自動車で超えると気分が悪くなるというのは同じ事です。

ということで、3本目というのは、いろんな面で身体に疲労が蓄積しています。したがって1日3本ダイビングする場合のプランの組み立ては、1本目ハード、2本目ミドル、3本目ライトなダイビングになるはずなんです。水深は1本目は深くても以後はだんだんと浅くなります。身体負荷の面でも、1本目にたくさん泳ぐような感じですね。3本目はいわゆるクールダウンみたいな感じで水中を漂ってサンゴとお魚とたわむれるようなダイビングです。

今回のダイビング遭難事故は不幸にも3本目に発生してしまいました。ダイバーの疲れもピーク、おまけに、漂流してからも日没も近いので、当日の捜索は早々と打ち切られました。

これが1本目2本目であれば、ダイバーの体力もまだ余力があり、まわりのダイビングの船に協力を要請したり、地元の警察等の日中かなりの時間捜索することができたので、今回のような大事にいたらず終わっていたのかもしれません。

天候の急変といい、いろんな面で不運が重なった事故なのかもしれません。


posted by bonjin at 03:22| Comment(1) | TrackBack(0) | スポーツ

可能な限りの万全な安全対策とは〜バリ島ダイビング遭難事故〜


ダイビングについて初めての記事です。まだ1名が行方不明の時点ですが、今回の事故について書いてみようと思います。

【バリ島ダイビング遭難事故の概要】

2月14日ダイバー7名が、ドリフトダイビングの後、船と落ち合う事ができず行方不明になる。
2月15日〜16日捜索するも発見できず
2月17日ダイバー5名を発見
2月18日ダイバー1名を遺体で収容
2月21日捜索打ち切り、以後有志による捜索になる模様



僕は、ダイブマスターという、インストラクターの1つ下のライセンスを持っています。
沖縄本島、慶良間諸島、石垣島、宮古島、与那国島、グアムとそれなりに本数も潜っています。

いろんなダイビングショップで潜っていますので、「これは危ねえよ〜!」「事故起こったらどうすんだ!」と思った事もあります。

実際に、僕自身もダイブマスターの講習の時に、一歩間違えば二度とダイビングできない身体になってしまいそうな事故寸前のトラブルもありました。この時は、自分で危ないと思ってリタイアして大事故になりませんでしたが、その後の講習はすべてキャンセルして、5か月後に再度講習を受けて取得しました。

ダイビングには、ビーチダイビングとボートダイビングの2つのダイビングの方法があります。

ビーチダイビングというのは、陸からダイビング器材一式つけて、海に入っていきます。ダイビング装備の中にはコンパス(方位磁石)を必ず持っているので、海に入っても陸の方向の方位がわかります。南側が海であれば潜ったあと北の方向に戻ればだんだん浅くなり陸の方向へ戻れます。水深が浅くなって浮上すればたいてい陸が見えるので、よっぽど速い潮流に流されない限り陸に戻る事ができます。

ボートダイビングは、船でダイビングポイントに行って、船から海の中に入ります。ボートダイビングにも2種類あって、通常は船からイカリ(アンカー)おろして、海底に固定します。この場合は、海に潜ってからまわりの地形や方角を確認しておけば、船は位置は動く事はないので容易に船まで戻って来る事ができます。ガイド(インストラクター)さんは、何度も潜っているポイントなので、地形は頭の中に入っているので、迷って船まで戻れない事はありません。

ボートダイビングのもうひとつの方法が、今回バリ島での遭難のきっかけとなった、ドリフトダイビングです。ドリフトダイビングとは、潮の流れにまかせてダイビングすることで、エントリー(海に潜る地点)とエギジット(水面に浮上して船に戻る地点)の場所が違います。つまり出発地点と到着地点とが別の地点になるということです。

さらに、海の潮の流れの方向と速さによって、ダイバーを回収する場所が、最初から決まっていないということです。こういったダイビングは、ある程度経験とスキルのあるダイバーに限られるため、最初に、チェックダイビングといって、1本目は、簡単なポイントで潜ってダイバーの技術チェックをするダイビングショップがほとんどです。ちょっと技術的に厳しいなと思われる場合は、普通はいっしょに潜ることはないのですが、せっかく海外まで来たので、ぜひ名物ポイントは潜ってみたいという強行する場合もあります。こういった場合は、ダイビングショップのガイド(インストラクター)さんだけでは、面倒見きれないので、同伴の上級者にサポートをお願いした上でダイビングを実施する場合もあります。

僕もグアム島にダイビングに行った時に、ちょっと深いポイントに潜る時に、ブランクダイバー(1年以上潜っていない人)の2人組のサポートをショップからお願いされた事があります。普通は、自分も含めてお客さんなわけですから、こういうことは断ってよいわけですが、バディーを指名されたということで、ある程度は面倒を見なくてはね。

さて、今回のバリ島の遭難事故の件、報道によりますと、エントリー(海に潜った)したときは、天候もそれほど悪くなかったということですが、残念な事に、その後天候が悪化して船長はダイバーを見失いました。おそらく船には船長しか残っていなかったのだと思います。ひとりでダイバーの位置を確認しながら船を操船するというのはけっこう大変なことだと思います。

船から、潜ったダイバーの方向を確認するためには、水面にあがってきたダイバーの吐いた空気の泡を確認しながら船で追いかけていきます。潮流が速い場合は、空気の泡はダイバーのいる場所と違う場所にあがってきます。さらに今回は天候が急変、水面が雨に打たれて泡を打ち消したのではと思います。

何度もダイビングを実施しているポイントなわけですから、おそらく船長は、この辺で浮上してくるであろうという場所に船を近づけたようですが、悪天候のためダイバーを見つける事はできませんでした。ダイバーは、船が近づいていることを確認したような証言がありますが、船からはダイバーを見つける事ができなかったのでしょう。

その後は、漂流して5名は発見、1名は残念ながら遺体で発見、残りの1名は、2月23日現在不明です。

事故が起こると、ダイビングショップの責任が追及されますが、すべてにおいて安全に対して万全のところなんてありません。いろんなダイビングショップで潜ってみて、ここは安全に対して足りないなと思う部分より、ここは安全に対して配慮しているなと思う部分を述べていきたいと思います。

もし今回そういう配慮や準備があったとしたら事故は防げたし、万一ダイバーと船が落ち合う事ができなくてダイバーが漂流したとしても、その後の捜索での発見は容易であったと思います。

ダイバーがエントリーしたあと、船には船長1人しかいなかった。もう1人アシスタントになるべき人間が船に残っていたら、ダイバーの泡を追いかけて船長は操船に集中する事ができたのではないでしょうか。

↑と書いたんですが、ネットでいろいろな報道をチェックすると、アシスタントというか船長ともうひとり船員さんが乗っていました。ただし、その船員さんが、ダイバーの泡の監視をしていたかどうかは不明です。記事を読むと、やはり船長がダイバーの泡を追って操船して、途中で見失ったようです。

潜るガイド(インストラクター)さんのについて考えてみましょう。今回は2名でガイドしました。僕が、与那国島でドリフトダイビングしたときの経験ですが、最後尾のガイド(インストラクター)さんが、丸いブイ(漁師さんが使う浮き球のようなもの)をロープをつけて泳ぎます。天候が良くても海のうねりが激しい時は、ダイバーの泡を見失っても、ブイがあるのでダイバーの位置は比較的容易にわかります。

ガイド(インストラクター)さんも、ゲストのダイバーさんも、携帯電話を持っていなかったのも、漂流してから発見が遅れた原因でもあります。防水の携帯電話でも、10mも潜ったら浸水して使い物になりません。ではどうするかというと、水深40mくらいまで大丈夫な防水ケースに入れて潜るんです。

それと証言によると、シグナルフロート(こん感じのものです)をインストラクターの2人しか持っていなかったということです。もし全員が持っていて、フロートあげて漂流していたら、発見も容易だったと思います。シグナルフロートいうのは、空気を入れると長い風船みたいになるもので、自分のいる場所の目印になります。2000円ほどで買えるものなので、ダイビングする人はぜひ持っていた方がいいと思います。保険と同じで使わないにこしたことはないのですが、万一の場合は強力なサバイバルアイテムになります。

「海猿」の仙崎さん(伊藤英明)みたいに、かっこよく助けることはできません。インストラクターだろうが、上級のダイバーであろうが、水深20m以上の深いところでトラブルがあったら、あっというまにタンクの空気がなくなって、おしまいです。命がけで人を助けるなんてことは、まずできません。まずトラブルがあったら助けを呼ぶことが一番大切です。日本国内だと「118」の海上保安庁にまず通報、そして近くにいるダイビングの船に協力を要請、そして最寄りの漁協にも協力を要請することです。

僕は、万一漂流したらということを考えているので、水温の高い南の海でしかダイビングをしません。漂流しても体力を温存すれば、一晩はなんとかなります。(天候が急変して嵐にでもなったらどうするの?ってツッコミもあると思いますが、ふつうは事前に天気予報で天気や海況や風向き風速を確認して潜っているので、そういうことはまずないと思います)

翌日夜が明けて、海上保安庁のヘリコプターか飛行機が、僕のあげたシグナルフロートを発見!というシミュレーションは頭の中ではしています。それと今回の事故の教訓で、携帯電話の耐水圧ケースは今度潜る時までに調達しておくことにします。それと日本国内で潜る時は、今のところドコモでなくっちゃだめだと思います。サービスエリアの面でドコモは、尖閣諸島と竹島、北方領土以外の日本の領海内はほぼすべてカバーしています。

北海道にいた時に、毎年夏に水難事故の記事を目にしました。よくあるのがマリンジェット(水上バイク)が沖で故障して、泳いで岸に戻ろうとしたら力つきて流されて・・・というのが多かったです。どうして救助が来るまで待てないのでしょうか?オリンピックの水泳で金メダル18個のマイケルフェルプスだって、秒速2mの速さでは100mくらいしか泳げないわけです。潮の流れがに逆らってなんか泳げるわけがありません。万一トラブルがあったら、無駄な体力を使わないで、ひたすら救助を待つことです。

ここで安全なダイビングのための復習です。

自前でダイビング器材を持っている人も、持っていない人も、シグナルフロートと携帯電話(耐水圧ケースに入れる)は、持っておきましょう。使わないので必要ないのではなく、使う機会がないのがいいに決まっています。保険と同じです、万一の事はない方がいいにきまっています。

Amazon「シグナルフロート

耐水圧ケースは、いまいちピンとくるものが見つからないので、購入する際にショップに問い合わせようと思います。予備のカメラの水中ハウジング(耐水圧40m)に携帯電話を入れてみましたが、5mmほど携帯が大きくて入りませんでした。

それと、持ち物は、必ず、ひもやチェーンで、BCDに固定しておきましょう。BCDのポケットに入れただけだと、落としたら海底です。僕はステンレスのリングと真鍮の下のようなので、持ち物を全部固定しています。ダイビングショップで買うと高いのですが、ホームセンターだと安く手に入ります。ステンレスのリングは4〜5本で100〜200円、真鍮のは198円でした。

真鍮リング.jpg

登山とダイビングは、自然相手のスポーツ&レジャーです。お金払って、自分の命までガイドさんにおまかせというわけにはいきません。ある程度は、天候の変化や万一のトラブルに自分自身で対応できるよう頭の中だけでも訓練しておくことは大切なことだと思います。

でもね〜!命の危険はあったとしても、海の中に入ると、そこは俗世間と隔絶されたお魚の世界です。やめられないんですよね!

サシバ沖イソマグロ.jpg
宮古島の向かいの伊良部島サシバ沖で、イソマグロに囲まれたところ。カメラを持った自分のまわりを、関係なくグルグル回って泳いでいます。












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